唯一、寝落ちさせてあげられなかった女性の話。
「あ、この方は、私がこれまで培ってきた技術だけでは救えないかもしれない。」
かれこれ名古屋で8年、
睡眠に特化したドライヘッドスパを提供してきた中で、
たった一人だけ、どうしても「寝落ち」させてあげることができなかった女性がいます。
今日は、私のセラピスト人生を大きく変えることになった、あるお客様とのエピソードをお話しします。
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優しいタッチが「痛い」と感じるほどの過敏さ
その女性は、どこか張り詰めたような、折れてしまいそうな雰囲気でご来店されました。
お話を伺うと、日々のお仕事は普通にこなし、自立した生活を送られています。けれど一歩自宅へ戻ると、夜が来るのが怖くてたまらない。寝る前になると漠然とした不安に襲われ、心療内科にも通っていらっしゃいました。
「とにかく、リラックスしたいんです」
そうおっしゃる彼女をベッドにお迎えし、私はいつものように、最も優しい圧で、筋肉の緊張を解くように触れました。
当サロンの技術は、もともと「痛くない、優しい整体法」をベースにしています。
しかし、彼女の口から出たのは、予想もしない言葉でした。
「痛いです。……そこを擦られるだけで、痛いんです」
驚きました。
髪の毛が触れるか触れないかのような繊細なタッチでさえ、彼女の脳にとっては「不快な刺激」として処理されてしまっていたのです。
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「寝落ち」の裏側にある、脳の彷徨い
多くのお客様は、私の施術が始まって数分もすれば、深い眠りに落ちていかれます。
「寝落ち」は、セラピストにとって一つの成功体験かもしれません。しかし、彼女の脳は一向に静まりませんでした。
それもそのはずです。彼女の朝食は、手軽に済ませる菓子パン。バナナ一本すら受け付けないほど、食事のリズムが崩れていました。
私たちの脳や神経は、食べたもので作られます。栄養が不足し、常に「戦うモード(交感神経優位)」で走り続けている彼女の脳は、暗闇の中で行き場を失い、彷徨(さまよ)っていたのです。
どれだけ高い技術で頭をほぐしても、脳のエネルギーが枯渇し、認知が「外からの刺激=攻撃」と捉えてしまっている状態では、真のリラックスは訪れません。
私はその時、自分の「技術」の限界を突きつけられました。
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「癒やす」だけでなく「変える」ことへの決意
結局、その日の彼女を深い眠りに導くことはできませんでした。
それでも彼女は「誰かに触れてもらっている時間は、心地よかった」と、その後も通ってくださいました。
私は彼女と向き合いながら、確信したことがあります。
睡眠の悩みは、ライフスタイル(生活習慣)だけが問題ではない。かといって、ヘッドマッサージの技術だけでも足りない。
• 「脳の認知」を書き換える知識
• 「神経の感覚」を呼び起こす運動
• 「身体の土台」を作る食事
これらすべてが噛み合わなければ、本当の意味で彼女のような方を救うことはできないのだと。
この悔しさが原動力となり、今の私のスタイル「施術」に「パーソナルトレーニング」と「睡眠ライフスタイル講座」を掛け合わせるメソッドが生まれました。
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完璧じゃなくていい、並走者として
もし、あなたが今「何をしても眠れない」「サプリも試した、整体も行った、でもダメだった」と悩んでいるなら。
そして、そんな自分を「ダメだ」と責めているなら、伝えたいことがあります。
あなたの脳は、ただ少し、彷徨っているだけです。
そして、その解決策は、技術一つで魔法のように変わるものではなく、日々の「歩み」の中にあります。
私は、あなたを魔法のように一瞬で変えることはできないかもしれません。
でも、その脳の彷徨いを止め、身体が本来持っている「眠る力」を一緒に取り戻す「並走者」でありたい。
あの時、寝落ちさせてあげられなかった彼女が教えてくれたこの想いを胸に、今日も私は名古屋のサロンで、お客様をお迎えしています。
「優しい施術」でも痛いのはなぜ?脳が過敏になりすぎている人の正体。
引き続き発信していきます。

